かりもの
自分の体を自分でこしらえて生まれてきた人は誰もおりません。自分は何才まで生きようと思って生れてきた人もいません。名誉、地位、財産をどんなに沢山築いても、死ぬ時は全部この世に残して死んでいかねばなりません。裸で生まれて裸で死んでいくということは、この世は一体なんなのでしょうか。人生百年生きられたら立派なものですが、しかしそれは仮の世で、夢のようなものともいえます。百年間に起きることは、自分の思う通りになるものなどごく一部であって、ほとんどは大自然から与えられるものばかりです。すべては天からの借りものであると自覚するのがほんとうなのかもしれません。家族もかりものだから、いつまでも自分のものとすることはできません。電話機も自動車もジャンボジェット機も、なにもかもが今リースやレンタルが大はやりです。もし、家賃を払わなかったら追い出されます。その前に大家さんはご機嫌が悪くなります。もし、家族がご機嫌が悪かったら、自分のものだと勘違いをして感謝が足りないのかもしれません。天への恩返しとして人のためにもっと尽くせば、天は家族だけでなくもっともっとすばらしいものを貸し与えてくれることでしょう。ロックフェラーが世界一の金持ちになったのは、恩返しとして収入の一割を神様に尽くしたことであったという有名な話が今も世界中で言い伝えられています。