希望と恐怖の設定
子供を育てる時、情におぼれると、つい希望の話ばかりしかしなくなりがちです。子供は夢ばかりを追いかけるようになるから一見良いように見えますが、しかし、この世は良いことばかりが起きるということは絶対にありません。勉強でもスポーツでも、人に勝った時だけ誉めていると、幸せとは優越感のことだと思う人間ができあがってしまいます。負けた時にどう立ち上がれるかということを教えることの方が親としてはどんなに安心なことかもしれません。人生には必ず荒波があるものです。それを子供をたすけ過ぎて夢ばかりしか見えない人間にしてしまうと、子供は強そうでも実は弱い人間になってしまいます。政治家になりたくても当選ばかりとは限りません。オリンピックの金メダルをとりたくても予選に落ちることもあります。社長になっても倒産することもあります。落選の恐ろしさや、倒産の恐ろしさを教えなかったら、おもいあがるだけで、油断から必ず落穴に落ちることになることでしょう。一流企業の社員になれても取締役になれても首にはならないという保証はありません。油断をするとこうなるという恐怖の部分と、夢の部分とを常に半分づつ持って生きていくことが重要なことではないでしょうか。